
今回の記事は、「 他人とうまくやっていく - アラン&バーバーラ・ピーズ 著 」 を読んだ僕なりのレビューになります。
この本を端的にまとめると、”他者と良好な人間関係を築き自分の話を聴いてもらい、他者に影響力を発揮できるようになることで最終的に 【自分の望みを実現する】” ための覚えやすく実用的な31個のルール (一部はルールという名のスキル) をまとめた本、と言うことができます。
僕は当初この本のタイトルから 「人間関係を良好にするためのスキル」 が解説された本なのかなと想像していましたが、一読して上記の通り「他者に影響力を発揮できるようになるためのルールとスキル」を解説した本であると感じました。
正直この本に書かれていることは類似したビジネス書でも解説されており、科学的な根拠の提示の仕方としては他の本の方が優れていると感じる点もありました。しかし、【人間の本質】を解説するセクションで他者と良好な関係を築くための大前提として常に心得ておくべきことから始め、他者に自分の話を聴いてもらえるようコミュニケーションを取り、日常とビジネスシーンの両方で影響力を発揮できるようになるためのルールとスキルを解説していくという ”構成がシンプルで読みやすく、必要な時にサッと読み返して実践に繋げる” という観点では優れた本であると感じました。
また、この本はセクション0: 人間の「3つの本質」 、セクション1: 相手に「自分は重要な人間だ」と思わせる、セクション2: 日常会話の達人になる、セクション3: ビジネス会話の達人になる、という構成なのですが、僕はセクション2と3に関しては他の類似したスキル獲得のためのビジネス書に書かれた科学的な論文を基にした詳細解説に見劣りしたため、この本にはそういった影響力を発揮するためのルールとスキルを解説する以前にセクション0とセクション1を読者に心得させようとしている点に価値がある、と感じました。なのでセクション0と1より、特に僕の印象に残った4つの点に関してご紹介していきたいと思います。
1. 人間の本質 ① :「自分は重要な人間だ」と思いたい:
まず1つ目のポイントは、著者のピーズ夫妻が ”自分を重要な存在だと感じたいという欲求” は人の生理的な三大欲求をも凌ぐもっとも強い欲求であり、”人間を動物と分かつ特徴のひとつ” であるとこの本の一番目に解説している点です。僕自身はこの重要な人間の最も根源的で強い欲求についてデール・カーネギーの「人を動かす」を昔に読み理解しておりましたが、”他者に影響力を発揮するためのルールとスキルの習得” をゴールとするこの本においてもまず一番目に解説されていたので、この点を抑えて他者と接することの重要性について再度認識させられました。 ピーズ夫妻は “自分を重要な存在だと感じたいという欲求” は人間の最も根源的で強い欲求であるが故に、他者と関わるどんな場面でも抑えるべき大前提であり、関係を持つ他者に【重要である】と思わせることができる人ほど ”相手からポジティブな反応を引き出すことができる” とまず始めに解説してくださっています。
2. 人間の本質 ② : 興味の対象は何よりも「自分自身」:
2つ目に人とコミュニケーション取る上で心得るべき大原則として著者のピーズ夫妻が “人が心の底から興味を持つのは、自分自身と自分の利益に関することだけ” である、故に “対話の中で優先的にしなければならないのは、相手について話すこと” であると説かれている点です。「この大原則を常に年頭に置こう!」 と言われてネガティブに感じる方もいるのではないでしょうか? というのもこの2つ目の大原則はまるで俗にいうエゴイストの在り様を描写しているようであり、それを全ての人間に当てはめるのはおかしいのではないか? という疑念が湧いてくる方もいるはずだからです。僕自身若干そのように始めは感じました。しかし著者もこの点はよく理解しており、”完全に無私無欲であるように見える人でも、たいていは 「情けは人のためならず(人のために行動すると、巡り巡って結局は自分のためになる)」という原則に従って行動している”、あるいは、他者のために行動することで “いい気分になる” だけでもそれは実際には行動を取った本人に利益がある、と著者は解説します。そして著者はこのことは単に “[人の]脳にしっかり組み込まれた機能であり”、”人間の自己防衛本能のもっとも基本的な形” であると説きます。他者との関わりの中で【“私たち自身の”望みを叶える】ためにはこの2つ目の大原則を抑えたコミュニケーションを取らなければならない、ということですね。
3. 人間の本質 ③ :「返報性」という自然の法則:
3つ目は、私たち人間は 【返報性の法則】 の中で生きているということです。これは【鏡の法則】などと例えられることもありますが、【自分が取った行動と同等あるいはそれ以上のものが必ずどこかしらから自分の現実に返ってくるという法則】と言い換えることができます。少なくとも私たちが生きる現実にはこの法則が存在しているため、私たちが何かを得たければ、【まず他者に与えること】から始めなければならないということですね。 以下ははこの本には書かれてはいないのですが、僕が昔にこの原則についてさらに掘り下げて解説されていた本の中で読んだことなのですが、作用する行動に対して【返ってくるまでの時間差があればあるほどそれは大きくなる】と書いてあったのを覚えています。僕自身はこの点に関して自分の人生で経験した覚えがないので実例を踏まえて解説できないのですが、心の片隅に置いておく価値のある真実なのかもしれないと思い、ここに書き記しておこうと思いました。
4. 人間関係を築く上での「ありがとう」の伝え方:
4つ目のポイントは、他者と良好な関係を築くために「ありがとう」という感謝の言葉を伝えるときの【伝え方】の重要性についてです。 “感謝の言葉を伝えることの重要性なんて人間関係を築く上では当然のことだろ!” と思う方も多いと思いますが、言われてみれば当然のことと脳裏に浮かんできても、実生活では「当たり前」が増えつい感謝の言葉を伝えることが疎かになりやすいのが人間ではないでしょうか。
この記事を読んでくださっているあなたにはここでもう一度このことを思い出していただき、それには【効果的な伝え方】がある、ということも同時に知っていただければと思います。著者のピーズ夫妻によると、効果的な「ありがとう」の伝え方には ”4つのポイント” があります:① “はっきり聞き取れるように言う” *”他の人が耳にすると、その「ありがとう」の効果は何倍にもなる” そうです。② “相手の目を見て、ボディタッチする” *どの部位にボディタッチすべきかは本を読んでからのお楽しみとしておきたいと思います。僕は他の本でこのことを読んだことがなかったので目から鱗でした。③ “相手の名前を呼ぶ” *ありがとうを言う際に相手の名前も一緒に言う、ということですね。④ “メモに「ありがとう」と書いて残す” *この4つ目のポイントも、僕にとっては目から鱗な情報でした。
最後にピーズ夫妻は “「ありがとう」 を言うときは、つねに誠実であるように”、そして ”ささやかなことに対しても感謝するチャンスを見逃さず、いつでも「ありがとう」を届けることのできる人に” なるようにと説いています。この4つ目のポイントが僕がこの本を読み終えて最も印象に残ったポイントでした。ぜひ実際にあなた自身でこの4つ目のポイントを実践してみてください。
特にオススメしたい人:他者に影響力を発揮し、他者との関係の中で自分の望みを
叶えていきたい方:
僕はアラン&バーバラ ・ ピーズ夫妻を世界的な名著である「話を聞かない男、地図が読めない女」で知ってはいましたが、この夫妻の本を手に取るのは初めてでした。ピーズ夫妻は “人間心理を知り尽くしている” ことで有名だそうですが、この夫妻がまとめた本書の31個のルール (一部はルールという名のスキル) は人間心理について長らく学習してきた僕からしても実践しやすくシンプルにまとめられている、と納得させられました。日本語版の本のタイトルと本の主旨とが若干ズレてしまっていたり、科学的な根拠を提示しながら一つ一つのルールを解説していくという2点では他のビジネス書に劣るものの、読者にさっと読ませて【論よりも実践が重要】という観点からすると非常にハンディーな本であり、常に手元に置く価値のある本であると思います。人間関係が原因で自分の望みを叶えられなかった、あるいはもっと他者に影響力を発揮できるようになって、他者との関係を良好に保ちながらも自分の望みをさらに叶えていきたい! という方にはぜひ読んでいただきたい一冊です。
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