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【図解 脳に悪い7つの習慣 - 林成之 著】 を読んで


今回の記事は、「 図解 脳に悪い7つの習慣 - 林成之 著 」 を読んだ僕なりのレビューです。

実は、この本は2009年に出版された新書 「 脳に悪い7つの習慣 - 林成之 著 」 の図解版であり、僕がこの本を読むのはこれが4度目でした。 2010年にこの本の新書版を読み、この図解版は2017年に購入したものです (図解版は2015年に初版発行)。

この本の内容のレビューは今回が初めてではありますが、
数年置いてから何度も読み直しているほど価値のある内容ということでもあります。


また、この図解版のレビューをしようと思うに至ったきっかけは
学びを結果に変える アプトプット大全 - 精神科医 樺沢紫苑 著 」 の「Ch3 56 絵や図を描く」 において、心理学における ”インプットが視覚的であればあるほど認識されやすく、思い出す可能性が高くなる” 「画像優位性効果」 が言及されており、以下に列挙した事実から情報伝達における視覚情報の圧倒的優位性について知り、文字情報中心だった新書が図解版として出版し直されていたこの本のことを思い出したからでした。

視覚情報と記憶の関係:
(引用元: 学びを結果に変える アプトプット大全 -  Ch3 56 絵や図を描く - pg.178 - 179 - 精神科医 樺沢紫苑 著)

- “脳の9割は視覚情報処理”

- “視覚情報の処理速度は文字情報の6万倍”

- “記憶の8割は視覚記憶”

- “視覚情報の活用で、学習効率は4倍になる”


新書版が182ページであったのに対し、この図解版では脳への悪習慣を良い習慣へ変換させるための全てのポイントが見開き2ページでイラスト付きで解説され、103ページにまとめられ (視覚情報の活用により約80ページも短縮!)、いつでも手元に置き復習できるようにとコンパクトにデザインされているところが良いですね。


【この本を購入したきっかけ】

僕はこの本の新書版を2010年に高校卒業後間もなく書店で購入して読みました。僕は高校時代から脳科学や心理学の本を読むのが好きで、”脳に良い~” といったタイトルの本を見つけては書店で手に取って読んでいたのですが、”脳に悪い~” というタイトルの本は当時珍しく、「 これは読まねば! 」 と即決買いしたのを覚えています(笑)。もちろん、この本の主旨は 【脳に悪い習慣を知ることでそれを意図的にやめ、脳のパフォーマンスを向上させる】 ことにあります。米国大学への進学前の3ヶ月で 「 留学中に高い成果を出すためのノウハウを知ろう! 」 と意気込んでいたのもこの本を読んだ理由であったと思います。


本題のこの本の内容に関してですが、”脳に悪い7つの習慣” というタイトルではありますが、
実際にはそれは7つの大きなカテゴリー (本内ではチャプターとされる) を意味し、著者はそのカテゴリー内で関連するいくつかの脳に悪い習慣を具体的に解説するという構成になっています。 また、単に7つのカテゴリー内で脳に悪い習慣を解説するだけでなく、始めから読んでいくことで【脳神経細胞一つ一つの共通本能】、【脳が考える仕組み】、それによる 【記憶、考え、信念、そして心の生じ方】 を読者が理解できるよう著者独自の視点で分かりやすく解説し、脳に悪い習慣が “なぜ脳に悪いのか” を読者が納得できるよう工夫がされています。

よって、この本を読むことで大きな7つのカテゴリーに関連する7つ以上の脳に悪い習慣についてその理由と共に理解を深め、実生活でそれらの習慣を改善していくことが可能となります。 以下ではこの本の中で僕の印象に最も残った4つのポイントをご紹介いたします。


1. 脳に備わる、デメリットになりうる2つのクセ:

脳神経外科医の著者によると、脳神経細胞の一つ一つには 「生きたい」 「知りたい」 「仲間になりたい」 という3つの本能があり、”脳の機能を最大限に活かすためには、これら3つの本能を磨く” ことが大切であるとのこと。 そして、「知りたい」 という本能を磨くためには ”常に新しいことを知ろう”という【興味をもつ姿勢】がとりわけ大切だそうです。

また、これらの本能の元、脳には 「自己保存」 と 「統一・一貫性」 という2つのクセが生じ、適度な使用であれば人が生きていく上でのメリットとなりうるものの、この2つのクセが強く現れると自分や他者を傷つけたり、自分と異なる意見やそれを言う人を拒否するといった、”生きる上での誤り” を犯す原因にもなりうると注意を促しています。

これに関連した経験が僕にもありました。僕が社会人になりたてのころ、社内の先輩に自分の意見を述べたのですが、その方は自分の意見に異議があるのではなく自分自身を否定されていると受け取り僕を論破しようとしてきたのです。その方はとても論理的な思考を好む方だったので、この著者の言う 「自己保存」 と 「一貫性」 の2つのクセが全面に出てきていたが故だったのだなと、振り返って妙にこの脳の2つクセに関して納得してしまいました。

また著者は 「統一・一貫性」 のクセが強く現れ過ぎると人は頑固になり、”いったん正しいと思い込んでしまうと、脳はそれ以上、思考を深められなくなり” ”意識的にこの基盤をはずさなければ、独創的な思考は生まれません” とも注意を促しています。

これは上記で例に挙げた先輩のような論理的思考偏重で生きている方に限らず、人が大人になる過程で自然に論理的整合性をとることが思考の基盤になるそうです。つまり、程度の差こそあれ、成人している方は 「統一・一貫性」 という脳のクセの影響を受けているということですね。これに対して著者は “人間の脳には重要でないと判断した記憶は3~4日経つと忘れる仕組みがある” ため “「統一・一貫性」 のクセをはずすには、「4日ごとに考える」 のが有効 ” とアドバイスしています。

僕は個人的に独創的に生きられる人でありたいと思っているので、この著者の説明からこの2つの脳のクセに縛られて思考停止に陥っていないか日々自己管理していきたいと気持ちを改められました。


2. 脳に入ってくる情報にプラスの感情のラベルを貼ることの重要性:

脳神経外科医の著者によると、大脳皮質神経細胞がまず認識した情報は、A10神経群(扁桃核、尾状核、視床下部が集合した部分) を通過し、ここでその情報にその個人の ”感情のラベル” が貼られるそうです。そして、その ”感情のラベル付き” の情報は次に前頭前野に持ち込まれ、脳はその情報の理解・判断を始めます。ここで、その情報に本人にとってプラスの感情が付加されている場合はその情報はさらに脳の深い部分に持ち込まれる一方、本人にとってネガティブな感情が付加されている場合、前頭前野より深い部分へはその情報は持ち込まれないというのです。記憶、信念、考え、そして心は、その前頭前野より深い部分で生成されるため、著者は外界から認識した情報に対し意識的に ”おもしろい” や “好きだ” という姿勢でいることが、思考や理解を深めたり記憶力を上げる上でとても大切であると解説されています。

ここで、A10神経群は否定的な言葉を聞いた場合にその情報にネガティブな感情を付加するため、自分の口からも否定的な言葉を口することをさけるようにと著者はアドバイスしています。 また、A10神経群の 「尾状核」 は感動をつかさどっており、”すごいな” と素直に感動できるとその部位から派生的にA10神経群が活性化され、理解力や判断力のアップに繋がるそうです。また、この 「尾状核」 は感動をつかさどるだけでなく、人の表情筋肉とつながっており、笑顔を作ることでA10神経群を活性化できるだけでなく、否定的な感情が生まれにくくなり、結果的に脳のパフォーマンスを上げることにつながるそうです。

僕はこの著者による脳内の情報の流れのプロセスの解説を読むまで、情報はまず前頭前野で処理され、その後その情報に対して個人的な感情が偏桃体によってラベル付けされると想像していたため、脳に入ってきた情報にまず第一に感情のラベルが付加されるという説明には驚かされました。また僕は大学で、情報は情報として個人的感情を切り離して思考できる親友ができたため、この情報への感情のラベルの付加の順序には個人差があるのではないか、と個人的には考えております。


3. 思考力・記憶力は “ごほうびが得られそうという期待” がある場合により働く:

ポイント2で情報に本人にとってプラスとなる感情がA10神経群で付加された場合に、それは前頭前野からさらに深い部分へと持ち込まれ、そこで記憶、信念、考え、そして心が生成されると書きました。脳の深部 (著者はダイナミック・センターコアと呼ぶ) にその情報を持ち込むかどうかを判断している部分が “自己報酬神経群” 呼ばれ、”脳にとってごほうびが得られそうという期待感” ある場合にこの神経群が活性化し、ダイナミック・センターコアへ情報が送られるそうです。従って、思考力や記憶力は脳にとってのごほうびが得られたという結果ではなく、”得られそうという期待感” によって高まる、ということです。故に、”結果が既に得られた”、 “これで十分”、といった思考をしてしまうと、自己報酬神経群が活性化されず、脳のパフォーマンスが落ちてしまうのだそうです。この事実から著者は、”物事をもう少しで達成できるということきこそ、「ここからが本番だ」 と考えることが大切” と説いています。

この本の著者である脳神経外科医の林成之氏は、その専門性から長年脳のパフォーマンスを引き上げる方法について研究されてきた方ですが、2008年の北京オリンピック競泳日本代表チームに 「勝負脳の奥義」 について講義を行い結果に貢献したことで知られています。そのチームメンバーであった北島康介選手は100mと200mの平泳ぎにてダブルで金メダルを獲得しました。著者は、”物事を達成する人と達成しない人を分けるのは、「まだできていない部分」 「完成するまでに残された工程」 を認識し、そこにこだわるかどうか” とおっしゃっているます。この3つ目のポイントはアスリートに限らず、取り組んでいる物事で高い成果を出したい全ての方にとって必須の知識であり、まさに “奥義” であると言えるでしょう。


4. 思考を深めたければ、効率を追い求めてはならない:

現代はコンピュータ等のテクノロジーの恩恵を受けて多くのことがデジタル化そして自動化され、あらゆることが効率化されていますね。 物事が効率化されれば私たちもより効率的に思考する機会が増えるのではないか、と考えたくもなりますが、著者はむしろその逆で、”思考を深めたければ効率を追い求めてはならない”、と説明されています。

1つのことについて何度も思考を重ねたり、論理の隙間を詰めるようにして思考すると思考が深まり、”すばらしい考え、独創的なアイデア、新たな発見” が生まれると著者は言います。

ここで ”思考を重ねることの重要性” と関連して、”思考力を磨きたければ読書をしよう!” と義務教育の学生時代から学校で、そして家庭で言われてきたという方は多いのではないでしょうか。そして、今では多読や短期間に多読をするための速読法がもてはやされる風潮があります。速読法はまさに読書効率を上げるために生み出されたメソッドであると言えます。

しかし、著者はこの本の中で思考力を高めることを目的とした読書をするのであれば、 “本は 「いかにたくさん読むか」 ではなく 「いかにいい本をくり返し読むか」 に重点をおくべき” と主張されています。 “「知っていることが多い」 のと 「思考力を発揮できる」 ことはまったく別もの” であるとのことです。 良質の本をくり返し読み、”ただ結論を覚えるのではなく、背景までふまえて迷わず論理的に説明できるレベルまで理解を深める” ようにと著者はアドバイスしています。


特にオススメしたい人:現状を打破して人生に変革を起こしたいと思っている人・
           さらに人生の質を上げていきたい人

この本は元々は2009年に発行され42万部のベストセラーとなった新書の図解版です。しかし、それから12年経った2021年現在でも読み返してみると、この本には ”人生の質を上げる上では欠かせない知識” が詰め込まれており、読み返して復習してよかったと感じさせられます。僕自身、人を観察することで人の習性について考える機会は多いので、”これは著者独自の視点から主張しているな” と感じる点もわずかに混ざっているものの、概して秀逸な内容の本であることは間違いないでしょう。

上記の4つのポイントは僕自身の印象に特に深く残った点であるため、この本の内容全てをご紹介できているわけではなく、読者によっては他の点で自分の人生の改善に役立つと感じる点も多いことでしょう。

僕は、脳のパフォーマンスの発揮度と現実における成果の度合いには強い相関があると考えます。なので、現状を打破して人生に変革を起こしたいと思っている方さらに人生の質を上げていきたいと思っている方にはぜひ一度この本を手にとって読んでいただきたいと思います。


この本が気になった方は以下からご購入できます:



図解 脳に悪い7つの習慣 - 林成之 著

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